今日から4ヶ月間は2歳お姉さん。
Happy BIRTHDAY!!!
この絵のストーリーも考えたけど、やっぱりなんか文章にならない。
苺絵だけどお姉さんの余裕みたいなのが描きたかった。
今度は約束やぶらないように小指におまじない。
※追記 Web拍手にてSSいただいたので以下転載してみます。2人ともなんだか凄く純粋で泣けてしまった… ありがとうございました! SSに合わせて絵もちょっとだけ修正。
---
「今日誕生日だったんだね。俺、知らなくて…」
年下の少年が申し訳なさそうに差し出したもの。
大きなヒマワリの花に、斗貴子は小さく目を瞬かせた。
「こんなものしか準備できなくて……ゴメン」
鮮やかな山吹色、
太い茎に巻かれた水色のリボンが風に揺れる。
「…気にするな。私も今日が自分の誕生日だと言うことを、今の今まで忘れていたから」
淡々と事実を述べれば、カズキが顔を上げる。
「ずっと戦いの中に身を置いて――気が付けば、年齢も誕生日も意味をなくし、書類整理のために割り振られた番号のようなものだった。祝ったことなんて、ここ何年もない」
斗貴子はふわりと笑った。
「綺麗なヒマワリだ…、ありがとう。私はコレだけで十分嬉しいから」
少年の手から受け取った大きな花。
一輪しかなくても、それは彼の笑顔のようで、彼そのもののようで、彼女には本当に嬉しいから。
「ありがとう、カズキ」
「斗貴子さん…」
ただの女の子の笑顔を浮かべる彼女は年相応に見えて、何故か少年は泣きたくなる。胸をグルグル回る感情に名前をつけることも出来ないまま、カズキは手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと?!」
腕の中で、慌てたような声が上がる。
それでもカズキは腕を緩めない。
「……斗貴子さん」
大好きな大好きな、年上のカノジョ。
「今年から、俺が毎年欠かさず祝うから」
耳元で囁かれ、暴れていた彼女の動きが止まった。
「ずっとずっと一緒にいるから。一緒に年をとるから」
「…カズキ?」
「斗貴子さんがこの世に生まれた大切な日、祝わせて…」
「…泣いているのか?」
涙もろい、優しい少年。
優しい少年は誰かの為に泣いて、誰かの為に怒ってくれる。
柔らかくて真っ白な心。
肩口に埋めた顔。頬に手を添えてあげさせれば、目元を赤くしたカズキと目が合う。
「ずっと?」
「ずっと一緒に居るから」
「本当か?」
「約束する」
戦士として生きるのを選んだのは、自分と出会う前の彼女。
凛と正した背と、護る戦いに身を置くが故の気迫。そして、押し殺された優しさ。
それら全てを開放してあげたい。
自分が傍にいる間だけでも、彼女を――護りたい。
あふれ出した感情が頬を伝う。
「キミは本当に…」
スカートのポケットから取り出したハンカチで涙を拭いてやり、年上の彼女は仕方ない、と笑みを浮かべる。
「馬鹿だな」
「?」
「一度約束を破っていること、もう忘れたのか?」
クリティカルヒット。
カズキに9999のダメージ。
土壇場でその手を離したことを思い出し、カズキが青くなったり白くなったりと百面相を始めた。
「ででででも、あれは〜〜〜」
「約束できる?」
「こ、今度は本当だから!」
「なら、こうしよう」
涙を拭いたハンカチを握り締め大声で宣言する少年に、斗貴子はそっと小指を差し出す。
「ユビキリ」
「うん」
絡めた小指と小指。
約束。
「もう二度と私の傍を離れない」
「俺はもう二度と斗貴子さんをおいてったりしない」
真剣な色を浮かべるカズキの目に引き寄せられるように、斗貴子は絡めた小指にキスをした。
「ずっと一緒だから…」
「…うん」
柔らかく温かいものが押し付けられる感触。
だがそれ以上に、彼女が彼を愛してくれているという実感。
「斗貴子さん」
「うん?」
「今の、プロポーズみたいだね」
「――恥ずかしいからそれ以上言わないように」
「あ、やっぱり思ってたんだ」
くすくすと笑う少年に釣られるように、斗貴子もヒマワリを手に笑う。
忘れられない、最初の誕生日になりそうだ。
そう思いながら。
---
|